コンテンツのクオリティをどう担保するのか

2008.06.19|shugo|CULTUREPermaLinkComments (2)

総務省の情報通信審議会 平成16年諮問第8号 第4次中間答申のP.42 には以下のようなことが書かれている。

コンテンツに対する「リスペクト」

あらゆるメディアがデジタル化に向かう中で、「コンテンツ大国」に相応しい、多様で豊かなコンテンツの製作・流通を促進していくためには、コンテンツに関わる全ての者が、それぞれの役割の下に、努力していくことが不可欠である。
特に、多くの才能ある若者の、コンテンツを創造する職業を選択するインセンティブを絶やさないことが重要であり、このためには、

ⅰ)コンテンツを尊重(リスペクト)し、これを適切に保護すること。
ⅱ)その創造に関与したクリエーターが、適正な対価を得られる環境を実現すること。

を基本的な姿勢として、それぞれの課題を検討することが必要である。

http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070802_4.html
別添2(本文)(PDF)

上記引用部分に、「コンテンツに関わる全ての者」と書かれていることからもわかるように、この中間答申が目指すコンテンツ大国を実現するためには、放送事業者のみならず、製作会社、アニメーター、作家、音楽家、漫画家などさまざまなクリエーターがやりがいを感じれる環境を作る必要がある。

順応気構えからの脱却でも記述したが「あるある大事典」で明らかになった放送業界の構造的な限界について製作会社の大御所たちがフリーハンドではないだろうが、ある程度本音を語るようになってきた。

これまでは、放送事業者に放送の機会という首根っこをつかまれ、しかも、製作者も生かさず殺さず状態におかれていたため、放送事業者に不利になる発言は容易にはできなかった。しかし前述した「あるある」を契機に、このままでは、潰れてしまうという状況まで追い込まれていることを自覚させられたのか、委員会の場でもまともな議論がなされるようになってきた。


そのような中で、起こってきたのが僕がここ数年で唯一最新刊が出るたびに購入していた、「金色のガッシュ」作者雷句誠氏による小学館への訴訟問題。

詳しくは、まとめページをご覧いただくとして、一読した感想としては、クライアントが製作者を安く買い叩こうとすることは、WEB制作の現場(デザイナー、プログラマーなど問わず)などでも日常的に起こっているため、雷句氏の声を上げる勇気に非常に共感がわいた。

次に感じたことは、週刊誌の裁判などでも普通は取材先の人が、記者や編集者、週刊誌を訴えることはあっても、本来作家を守るべき編集者が作家から訴えられるというのは、ありえないわけで、少なくとも信頼関係が築けていない時点で、編集者失格であろう。

とにもかくにも、僕自身何度も勇気づけられた「ガッシュ」の作者が二度と小学館やサンデーで漫画をかかないというに至らせたのは何なのか、このことはしっかりと考えていきたい。

日本が世界に本当に誇れる産業は、アニメ漫画ゲームくらいしかないし、ドイツなどではナウシカをはじめとした宮崎アニメのおかげで日本がリスペクトされているということも最近聞いたばかりだった。そんな折、かつて手塚治にあこがれ漫画家を志した人たちがいたように、また宮崎駿をめざし、アニメーターになった人もいるだろうが、そのような人たちが待ちうける未来が今回雷句氏が直面したようなものであったとしたら、お先真っ暗だろうし、選択肢の多いこの時代、容易に目標転換してしまいかねない。

漫画やアニメで育った僕としては、想像力の溢れた作家さんに今まで以上に活躍してもらいたいし、若い人たちにもっともっとチャレンジして、第二の宮崎駿になってもらいたいと思うわけだ。

この希望をきちんと実現するためには、さまざまなサポートを僕らもする必要がる。


要は、出版不況だし、業界の編集力の低下もあるだろう、コンビニでの立ち読みやインターネットやケータイなどの新しいメディアとの時間の取り合い、小遣いの取り合いなどなど課題はさまざまある。

ただ、それらが理由で世界から注目される地球の宝ともいえるコンテンツが生み出されなくなるのは嫌だから、そのために、僕ができることは何なのかをちゃんと考えていきたいと思う。

そのヒントも雷句誠氏のブログにあるので、ぜひこちらもご一読ください。
http://88552772.at.webry.info/

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Posted Comments

日本のクリエイティブの問題って、なんか構造的には売春に似てるようなきがする。 買うほうも買うほうだけど、売るほうも売るほう的な。 お金的には買う側が権利を持っているようにも見えるけど、クリエイティブ側が団結してしまえば、需要をコントロールできて、ある程度の交渉が有利になるのかも。 ま、もちろん日本ではそういう「ユニオン」的なものがあまり権力を持っていないのか、ただ単にオレが知らないのか。

ま、アメリカみたいにユニオンがぎゅうじって、やくざ的な組織力の乱用をしだすということも将来的には考えられるけどね。 ブロードウェイのオーケストラも似たような問題かな。 ユニオンとかいって、一部は「年間??ドル給料アップを保障する」とか、とんでもない要求をするから、メンバーのサポートが上がる一方、外からは敵に回される。

あと、全体的に見ると、日本はクリエイティブが他国より多いのかもね。 優秀な人が多いから。 で、供給が圧倒的に需要を上回って、価値が下がってる、みたいな。 やっぱりなんともいえないよね。 妹がアニメーターやってたときも、「ただでいいからやりたい」って人ばかりで、1年間ただばたらきの「お試し期間」をやるのなんてあたりまえ。 それでもやってしまうからクリエイターに対するリスペクトは落ちる一方。 「わらにもすがるほどやりたくないなら、代わりはいくらでもいる」って流れ出、少しでも強気で交渉すれば競争に負ける。 クリエイターの価格破壊だよね。 しかも自分でやってる。

2008.06.25|kensuguro

なんだか切ない構造だね~

クリエイティブ側が団結するには、ある程度貯えがないと無理だろうけど、それがないから無理なんじゃないか。すぐ脱落者が出そう。これも構造から派生している問題とは思うが。

2008.06.27|taku

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